こんにちは。日中はまだ暑さが戻る日もありますが、朝晩には少しずつ涼しさを感じる時間も増えてまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
これまで2回にわたり、令和8年分の年末調整で変わる点、年末調整手続の電子化についてお伝えしてまいりました。今回はその延長として、源泉徴収票や法定調書の「提出方法」が令和9年(2027年)1月から変わる点をご案内いたします。
年末調整の実務が一段落したあとの1月から適用が始まりますので、今のうちに概要を把握しておいていただければと思います。
1. 源泉徴収票の税務署提出が原則不要になります
これまで、給与の支払をする事業者は、従業員がお住まいの市区町村へ「給与支払報告書」を提出するほか、所轄の税務署にも「給与所得の源泉徴収票」を提出する必要がありました。
令和9年1月1日以後は、市区町村へ「給与支払報告書」(公的年金等の場合は「公的年金等支払報告書」)を提出すれば、税務署長に「給与所得の源泉徴収票」(同「公的年金等の源泉徴収票」)を提出したものとみなされます。この「みなし提出の特例」により、税務署提出用の源泉徴収票をあらためて作成・提出する必要がなくなります。
市区町村への給与支払報告書の提出方法は、①eLTAX、②光ディスク等、③書面の3通りです。国税庁はeLTAXでの提出を推奨しています。
2. 従業員へ交付する源泉徴収票は、引き続きすべての方に必要です
ご注意いただきたいのは、税務署への提出が不要になるのはあくまで税務署提出用の源泉徴収票であり、従業員の方へ交付する源泉徴収票は、これまでどおりすべての受給者に作成・交付する必要があるという点です。提出先が変わるだけで、交付義務そのものがなくなるわけではありません。
また、eLTAXの「電子的提出の一元化機能」(源泉徴収票と給与支払報告書を同時に作成・提出できる機能)は令和8年9月をもって終了します。この機能を利用して提出されている事業者の方は、運用の見直しが必要になります。
3. 法定調書のe-Tax等による提出義務、基準が30枚以上に引き下げられます
源泉徴収票以外の法定調書についても、提出方法に関わる変更があります。法定調書は、その種類ごとに前々年に提出すべきであった枚数が一定以上の場合、e-Tax・認定クラウド等・光ディスク等(CD、DVDなど)での提出が義務づけられています。この基準枚数が、令和8年12月31日以前に提出する分は「100枚以上」、令和9年1月1日以後に提出する分は「30枚以上」に引き下げられます。
例えば、令和7年に提出すべきであった「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の枚数が30枚以上であった場合、令和9年1月に提出する同支払調書はe-Tax等により提出する必要があります。判定は法定調書の種類ごとに行われ、複数の種類を合計した枚数では判断しません。
4. eLTAXでの提出が従業員の確定申告にもつながります
令和9年1月1日以後(令和8年分以後)、eLTAXで給与支払報告書を提出した場合、その情報がマイナポータル連携の対象となり、従業員の方の確定申告における利便性が向上します。マイナポータル連携とは、確定申告の際にマイナポータル経由で給与情報や医療費、ふるさと納税などのデータを一括取得し、申告書の該当項目へ自動入力できる機能です。令和7年分の確定申告では約408万人がこの連携を利用しており、国税庁は令和9年1月以降はより多くの方が利用できるようになるとしています。
利用にはマイナンバーカードと、カード読取に対応したスマートフォン(またはICカードリーダライタ)が必要で、初回利用時には事前準備も必要です。なお、源泉徴収票をオンラインで提出しなかった場合や、記載のマイナンバー・氏名・住所・生年月日等が正しくない場合は、従業員の方が給与情報を取得できないことがありますので、あわせてご留意ください。
よくある質問
Q. eLTAX以外の方法で給与支払報告書を提出した場合、従業員はマイナポータル連携を使えますか
国税庁は、令和9年1月1日以後(令和8年分以後)にeLTAXで給与支払報告書を提出した場合、マイナポータル連携の対象となるとしています。裏を返すと、事業者が源泉徴収票をオンライン(e-Tax又は認定クラウド等)で提出しなかった場合、国税庁から従業員へ給与情報を提供することができません。あわせて、オンライン提出した源泉徴収票に従業員のマイナンバー・氏名(カナ含む)・住所・生年月日等が正しく入力されていない場合も提供できません。提出方法によって従業員側の利便性が変わりますので、eLTAXでの提出をご検討ください。個別の事情により対応が異なりますので、詳しくは当事務所にご相談ください。
Q. 法定調書の枚数基準の引き下げは、令和8年分の提出から適用されますか
引き下げ後の「30枚以上」という基準は、令和9年1月1日以後に提出する法定調書から適用されます。令和8年12月31日以前に提出する分は、引き続き「100枚以上」が基準です。提出時期を基準に判定される点にご注意ください。
Q. eLTAXの一元化機能が終了すると、何をすればよいですか
一元化機能は、源泉徴収票と給与支払報告書を同時に作成・提出できる機能でしたが、令和8年9月をもって終了します。令和9年1月以後は源泉徴収票の税務署提出自体が原則不要になりますので、給与支払報告書の提出手順をあらためてご確認いただくことをおすすめします。操作方法はソフトウェア提供元にお問い合わせください。
詳しく知りたい方は(国税庁公式リソース)
- 源泉徴収票のみなし提出の特例
- 「給与所得の源泉徴収票」はe-Taxで!【事業者用ページ】
- No.7455 法定調書の提出枚数が30枚以上の場合のe-Tax、光ディスク等又は認定クラウド等による提出義務
- 法定調書のe-Tax等による提出義務化の概要について(e-Tax)
- 令和8年分の確定申告はスマホとマイナポータル連携でもっと便利に!
- 法定調書(源泉徴収票、支払調書)
本記事は令和8年(2026年)9月時点の国税庁ホームページの記載に基づいています。
出典:国税庁ホームページ(上記各ページ)
最後に
提出方法の変更やe-Tax等による提出義務の判定は、事業者ごとに作成している法定調書の種類や枚数によって対応が異なります。給与計算や法定調書の作成事務でお困りの際は、当事務所の 経理サポート・決算 にてお手伝いできますので、 お問い合わせ よりお気軽にご相談ください。